アイドルマスター

ミステリー小説じゃないとはいえ、前半とも言えない冒頭部分だけで先の展開が全て読めてしまうのはどうかと。
これならオリジナルキャラに対し、同じプロダクションで活躍するライバル兼親友としてゲーム内キャラが出てくる形のほうがよかったかもと。
この調子で9冊はきついだろうなー。

以下妄想(ネタバレ含む)




観客席からは多大なアンコールが響く。
しかし・・・
(こんな時に限って機材が不調だなんて)
袖のスタッフへ目線をやるが、悲しそうな目で首を横へ振るだけだった。
こんなとき、プロデューサーならどうしただろう。
自分を残しアメリカへと旅立った男の姿を思い浮かべる。
例えどんなに離れていても今ならわかる。
公園で初めて出会ったときの、夢を聞かせてくれたときの気持ちを、自分を信じる気持ちを忘れないで。
きっと、そういうだろう。
「皆さん、アンコールありがとう。ラストはアカペラで歌います」
頭ではわかっているのに、心では覚悟を決めたはずなのに、言葉にし現実をかみ締めた途端に不安が襲ってくる。
声が震えてのどから出て来ない。
会場がざわつき始めた。
いつまで経っても歌い始めない千早に対し痺れを切らしているようだった。
焦れば焦るほど喉がかすれ、体が震えて自制できない。
ほんの2〜3分のことのはずなのに永劫のときのように感じられる。
・・・ユキ兄、お願い、私に勇気を出させて、ユキ兄!!


突然、会場後ろの扉が開き、まばゆい光の中から一つの影が姿を現した。
観客と一人の少女の視線が集中する。
・・・アレはまさか
影が動いた。
背中に背負っていた何かを体の正面で構えなおす。
ギター。
それは紛れも無くギター。
会場が静まり返った。
これから何が起こるのか、全ての人間が息を潜め待った。
指が動いた。
弦を弾き流れ出る旋律、それは
・・・公園でであったときの曲
やはり来てくれたんだ。
「みんな!私の歌を聴いてぇぇぇっ!! ボンバー!!!!」


  Let's GO つきぬけようぜ 夢で見た夜明けへ
  まだまだ遠いけど
  Maybe どうにかなるのさ 愛があればいつだって
  (以下略)
  『突撃 ラブハート!』


このとき会場から発せられた歌エネルギーの総量は1万チバソングを超えたとも言われるが定かではない。
なぜなら、このときの関係者は皆・・・



『すいません、JASRACの者ですが』


その後、彼らの姿を見た者はいない。