いわゆる一つの妄想

地球上に存在する業の総量が限界を突破し、56億7千万年後の弥勒菩薩降臨まで人類が生き残れないことが判明した。
この混乱に乗じてイーサク・タケダ率いるカルト宗教結社『SomaSociety』(SS)が『業よりの浄化』を大義名分に掲げ、世界各地において強襲型機動菩薩を使用した仏罰を実施。
独自の宗教理念による人類統一、即ち世界征服に乗り出した。
それに呼応するかのように深き眠りより目覚め人々の前に姿を現した太古の神々。
地球は未曾有の混乱に陥った。


人の手により、神の手により駆逐されていく人類。
だが、全てが瓦礫と化した世界で立ち上がった男がいた。


背中に背負った巨大なバッテリーからは左右に3枚ずつ、計6枚のソーラーパネル
が伸び、照りつける太陽の光を絶え間なく電気エネルギーへと変換し続けている。
極限までウェアラブル化されたPCを身にまとい、剣をかたどった平面型ハンディスピーカーから流れるは幾重に折り重なった電子的音階。


人類の再生を賭けた戦いは一人の男の手にゆだねられた